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備忘録としてのweblog

とりあえず書き始めたのなら、「答え」を書いてから「はじめに」を書く

文章を日常的に書く習慣がなければ、文章を書くことは難しいかもしれない。あるいは、難しいと感じているかもしれない。なにが難しいのか。それは、始まりと終わりのある文章を書くことではないだろうか。文章を書くこと自体が難しいのではなく、文章を始めることと、終わらせることが難しいのではないだろうか。

また、問題になっているのは、書けることがないというよりは、可能性があり過ぎることだと思う。書くべきことは誰もがもっているはずだ。必要なのは、材料ではなく制限になる。書くという行為は即興演奏のようなもので、書きながら認識することは難しい。どのようにどれくらい書くかを最初に決めてしまうことで最低限の体裁を保った文章が書けるようになる。少なくとも手助けになる。

書くためのフレームを決めていく

まずは、文字数を決めてみる。1000文字の文章を書くことにしよう。そして、この1000文字をどのように割り振るかを書く前に決めてしまう。最も簡易な構成として、3つにパートを分けよう。第1のパートはいわゆるリード文になる。論文で言えば「はじめに」にあたる。そして、第1パートには150文字を用意する。だが、まだ書かない。

第2パートが本文に当たる。第2パートには700文字程度の文章を書く。そして、第3パートがまとめや「さいごに」となる。第3パートにも150文字をあてよう。これで、150文字のパートに挟まれた700文字の本文という構成ができる。

書く順番だが、本文から書くことにしよう。最初は、箇条書きが良いかもしれない。作文の難しさは文章の長さに比例するように増していく。箇条書きによって文の骨子を組む。見出しのようなものとして箇条書きを利用しよう。実際に見出しにしてもいいし、そうでなくてもいい。

ところで、どれくらいの文章なら十分にコントロールできるだろう。40字だろうか。100字だろうか。もちろんテーマによっても変わってくるはずだ。要は、700文字を自分が十分にコントロールできるであろう文字数で割って欲しい、ということだ。その数だけ箇条書きにしよう。そして、間をつなぐように文章としての体裁を整えるのだ。

出来るだけ小さく小さく要素に分けてから書き始めれば、いざ書き始めてから迷うということが少なくなる。とりあえず書き始めて、箇条書きを利用して、あとから、一定の流れに文章をまとめる。途中で書きたいことが頭に浮かんでもそれは一旦置いておこう。どこかにメモしておいても良いだろう。

そのように本文が書けたら、次にまとめ部分を書こう。本文を要約するのだ。できれば、次の方向性を示せれば良いかもしれない。何かしらの結論を出すことで文章を閉じよう。

それが出来たら、最後に冒頭部分を書こう。導入文である。リード文だ。どのように書くかは内容によるだろう。最も簡単なのは第2パートと第3パートの概要だ。あるいは、なぜこの文章を書いたのか、読者はなぜこの文章を読むべきなのかを提示してもいい。

ともかくそのようにして、700文字の本文とそれを挟む形で2つのまとめ部分から成る1000文字のテキストが完成する。1000文字というのは多いだろうか。(多いと感じている人向けに書いてはいる。)しかし、1000文字の中に書ける情報というのは意外にも多くない。実質的には700文字しか本文はない。書いてみれば物足りなさを感じるほどだろう。ここから文字数を増やしてもいいし、一定期間は、1000文字縛りで書き続けるのも良いトレーニングになると思う。

書き始めるために書き始める

文章を書くこと自体はそれほど難しくはない。書き始めることがハードルであり、書き終わるには冷静さが必要だ。だから、先に決めてしまうといい。箇条書きを文章にして、本文とする。それをまとめて、文章を閉じる。そして最後に、「はじめに」を書く。最も難しい書き出しについて悩んでいつまでも書けずにいるより、「はじめに」を書くために書き始めよう。もちろんこれは、正統的なテクニックではない。しかし、書くこと自体に慣れる訓練としては、それなりの効果を発揮するだろう。