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備忘録としてのweblog

猫の名前を呼んでも来ない

猫の名前をちゃんと呼んでいますか?

あなたの家の猫は名前を呼べば振り向きますか?

きますか?

にゃ〜にゃ〜鳴きますか?

うちの猫はまったくダメです。

育て方がいけなかったのでしょうか、かれこれ7年ほど一緒に暮らしていますが、あいつは私が名前を呼んでも反応しません。

決して、無愛想なやつではないのですが、名前にだけは反応しません。

ちなみになんという名前かというと「熊本係長」といいます。

呼ぶには長いので、「くま」と呼んでいます。

猫に「くま」というのは、イレギュラーな感じがしますが、意外にも、猫に「くま」と名付ける飼い主さんは多いようで、「くま」という名前は『猫名前ランキング』の常連であるらしいです。

そんな、『猫名前ランキング』にランクインするような、ベタな名前で呼んでいるにも関わらず、うちの猫は反応しません。

決して、無愛想なやつではないのですが・・・。

「おいで」と言えば来るのだけれど

名前を呼んでも来ないなら、どうしているかというと、これは簡単で、「おいで」と言ったら来ます。

じゃあ、いいじゃないか。なにも問題ないではないかと思われますか?

そうです。何も問題はないのです。

おそらく、あいつは自分のことを「おいでちゃん」と思っているのです。だって、猫には人の言葉はわかりませんから。

私が「おいで、おいでちゃん」と呼ぶときの顔や雰囲気から、猫なりに空気と意図を感じとるのでしょう。

そして、「呼ばれたからにはいこうじゃないか、なんじゃおら」という不遜な感じできます。

腹が減っているときは、猫撫で声を発しながらすり寄ってきます。

猫が発する鳴き声を、『猫撫で声』と表現するのも矛盾がありますが、まあいつもより甘ったるく卑猥な感じで鳴き鳴きしてすりすりしてくるのです。

かわいいやつです。

決して無愛想なやつではありません。

ただ、名前を呼んでもきません。

あいつは、自分のことを「おいでちゃん」と思っているからです。

これは、親の責任でしょうか。親とは私のことです。もちろん私が産んだわけではありません。比喩というやつです。

比喩というのは、人間の思考特有のもので動物はそんなことしません。あるものをあるように受け止めます。いや受け止めるということさえありません。ただ、あるようにあるだけです。

だからこそ、あいつは自分のことを「おいでちゃん」と思い込んでいるのでしょう。

いえ、また私は間違いました。

猫なので、思うということもありません。ただ、私が「おいで、おいでちゃん」と呼ぶときの『感じ』が猫にとって合図になっているのです。

名前というのは、特に動物の名前というのは、そのように機能するのですね。振動に込められた感情(感情が発する振動と言った方が正しいでしょうか)というのが鼓膜を揺らし、猫の、うちの場合ですと「おいでちゃん」の行動を促すのです。

私としては、「くま」と呼んだときにも来てほしいのですが、「おいで、おいでちゃん」という気持ちを込めて、しかし、音としては「くま」と呼ぶしかないのでしょうね。

それなら、「おいで、おいでちゃん」と呼ぶ方が楽なので、ついつい「おいで、おいでちゃん」と私が繰り返すものですから、あいつの方もなおさら自分のことを「おいでちゃん」と自覚するのです。